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⚖️ 法律

法律

本分野は日本国憲法を中心に、民法・行政法・刑法の基礎を横断的に問う社会科学領域である。日本国憲法は1946年(昭和21年)11月3日に公布され、1947年(昭和22年)5月3日に施行された。三大基本原理は国民主権・基本的人権の尊重・平和主義であり、第9条は戦争の放棄・戦力の不保持・交戦権の否認を定める。憲法改正は各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票で過半数の賛成を要する(第96条第1項)。

法体系・法の一般原則: 国内法は憲法を頂点とし、法律・命令(政令・省令)へと効力が段階的に及ぶ構造をとる。刑法では、法律の定めなくして犯罪・刑罰なしとする罪刑法定主義が基本原則である。

人権保障: 第14条第1項は人種・信条・性別・社会的身分または門地による差別を禁じる(法の下の平等)。第25条第1項は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)を保障する。

統治機構と三権分立: 国会は「国権の最高機関」かつ「国の唯一の立法機関」である(第41条)。内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名される(第67条第1項)。衆議院で内閣不信任決議案が可決されたとき、内閣は10日以内に衆議院を解散しない限り総辞職しなければならない(第69条)。司法では、最高裁判所が一切の法律・命令・規則・処分の合憲性を判断する終審裁判所であり、違憲審査権を有する(第81条)。条約は国家間の合意であり、憲法との効力関係が論点となる。

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例題 (35)

1. 日本国憲法の三大基本原理の組み合わせとして正しいものはどれか。

  1. 国民主権・法の支配・三権分立
  2. 議院内閣制・基本的人権の尊重・平和主義
  3. 国民主権・基本的人権の尊重・平和主義
  4. 地方自治・基本的人権の尊重・国民主権

日本国憲法は前文および各条文を通じて、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を三大基本原理とする。 (日本国憲法前文および各条文)

2. 次のうち、日本国憲法第14条第1項が法の下の平等に関して明文で掲げる差別禁止事由に該当しないものはどれか。

  1. 年齢
  2. 信条
  3. 性別
  4. 社会的身分又は門地

14条1項は人種、信条、性別、社会的身分又は門地による差別を禁止しており、年齢はこれらに明示的に列挙されていない。 (日本国憲法第14条第1項)

3. 生存権(第25条)の法的性格について、「国の政治的・道義的義務を定めたにすぎず、国民に具体的請求権を保障したものではない」とする学説を何と呼ぶか。

  1. 法的権利説
  2. 抽象的権利説
  3. 具体的権利説
  4. プログラム規定説

プログラム規定説は25条を国の努力目標・政治的義務を定めた規定と捉え、それのみでは具体的な権利を導けないとする立場である。 (憲法第25条第1項をめぐる学説)

4. 日本国憲法第25条第1項が定める権利の内容として正しいものはどれか。

  1. すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う
  2. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
  3. すべて国民は、ひとしく教育を受ける権利を有する
  4. すべて国民は、勤労者の団結する権利を有する

25条1項は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」、すなわち生存権を保障する規定である。 (憲法第25条第1項)

5. 日本国憲法第9条の内容として正しいものはどれか。

  1. 自衛のための必要最小限度の実力の保持を明文で認める
  2. 集団的自衛権の行使を明文で規定する
  3. 戦争の放棄、戦力の不保持及び交戦権の否認を定める
  4. 徴兵制の禁止を明文で規定する

9条は戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認を定めるにとどまり、自衛力の保持や徴兵制禁止を明文で規定してはいない。 (憲法第9条)

6. 精神的自由を規制する立法は、経済的自由を規制する立法よりも厳格な基準で違憲審査すべきとする考え方を何と呼ぶか。

  1. 二重の基準論
  2. 比例原則
  3. 明確性の理論
  4. 公共の福祉論

精神的自由は民主政の過程における自己回復力が乏しいため、経済的自由の規制よりも厳格な基準で審査すべきとする二重の基準論が通説・判例上採られている。 (憲法学における違憲審査基準論(判例・通説))

7. 国またはその機関が特定の宗教団体に特権を与えたり、宗教的活動を行ったりすることを禁止する原則を何というか。

  1. 信教の自由
  2. 良心の自由
  3. 学問の自由
  4. 政教分離の原則

政教分離の原則は国家と宗教の分離を求めるもので、判例は目的効果基準を用いて国の行為の合憲性を判断している。 (憲法第20条・第89条)

8. 日本国憲法第21条第1項が保障する自由として正しいものはどれか。

  1. 学問の自由
  2. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由
  3. 居住、移転及び職業選択の自由
  4. 信教の自由

21条1項は集会・結社・表現の自由を保障する規定であり、他の選択肢はそれぞれ23条、22条、20条に対応する。 (憲法第21条第1項)

9. 判例上、憲法第21条第2項が絶対的に禁止する「検閲」の主体として想定されているのはどれか。

  1. 立法権
  2. 司法権
  3. 行政権
  4. 私人

判例(税関検査事件等)は検閲の主体を行政権と解し、これを絶対的に禁止されるものとしている。 (憲法第21条第2項、最高裁判所判例)

10. 「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と規定する条文はどれか。

  1. 憲法第31条
  2. 憲法第32条
  3. 憲法第33条
  4. 憲法第34条

31条は適正手続の保障(罪刑法定主義・手続の適正)を定める基本条文であり、32条は裁判を受ける権利、33条は逮捕の要件、34条は抑留・拘禁の要件を定める。 (憲法第31条)

11. 判例・学説上、プライバシー権や自己決定権などの「新しい人権」の一般的な根拠規定とされる条文はどれか。

  1. 憲法第14条
  2. 憲法第19条
  3. 憲法第21条
  4. 憲法第13条

13条の幸福追求権は新しい人権を導く包括的な根拠規定とされ、プライバシー権等の基礎とされている。 (憲法第13条)

12. 外国人の人権享有主体性について最高裁判所がマクリーン事件判決で示した考え方として正しいものはどれか。

  1. 外国人には憲法上の人権保障は一切及ばない
  2. 権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、外国人にも憲法の基本的人権の保障が及ぶ
  3. 外国人にも日本国民と全く同一の人権が保障される
  4. 外国人の人権保障は法律の定めるところによってのみ認められる

マクリーン事件判決は、権利の性質上日本国民のみを対象とするもの以外は外国人にも人権保障が及ぶとする「性質説」を採った。 (最高裁判所大法廷判決(マクリーン事件、昭和53年))

13. 日本国憲法の改正について、国会が発議するために必要な要件として正しいものはどれか。

  1. 各議院の出席議員の過半数の賛成
  2. 衆議院のみの総議員の3分の2以上の賛成
  3. 各議院の総議員の3分の2以上の賛成
  4. 内閣の閣議決定

憲法改正の発議には各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要であり、その後国民投票で過半数の賛成を得ることで成立する。 (憲法第96条第1項)

14. 最高裁判所が薬局開設の距離制限規定を違憲と判断した薬事法距離制限事件における審査の考え方として正しいものはどれか。

  1. 国民の生命・健康に対する危険防止という消極目的規制について、必要かつ合理的な規制といえるかを審査した
  2. 経済政策上の積極目的規制であるとして、立法府の裁量を広く尊重し合憲とした
  3. 精神的自由の規制として二重の基準論を適用した
  4. 財産権の内容は法律で自由に定めうるとして審査を及ぼさなかった

薬局開設の距離制限は国民の生命・健康に対する危険防止を目的とする消極目的規制と位置づけられ、最高裁は必要かつ合理的な規制とはいえないとして違憲とした。 (最高裁判所大法廷判決(薬事法距離制限事件、昭和50年))

15. 行政行為に瑕疵があっても、権限ある機関により取り消されるまでは一応有効なものとして通用する効力を何というか。

  1. 不可争力
  2. 自力執行力
  3. 不可変更力
  4. 公定力

公定力とは、行政行為が重大かつ明白な瑕疵により無効となる場合を除き、権限ある機関の取消しがあるまでは一応有効なものとして扱われる効力をいう。 (行政法学上の通説(行政行為の効力論))

16. 出訴期間の経過等により、私人の側からは行政行為の効力を争うことができなくなる効力を何というか。

  1. 公定力
  2. 不可争力
  3. 自力執行力
  4. 拘束力

不可争力は出訴期間の経過後に相手方から行政行為の効力を争えなくなる効力であり、行政庁自身による職権取消しまで妨げるものではない。 (行政法学上の通説(行政行為の効力論))

17. 一般的に法令で禁止されている行為を特定の場合に解除し、適法にこれを行うことができるようにする行政行為を何というか。

  1. 特許
  2. 認可
  3. 許可
  4. 下命

許可は一般的な禁止を特定の場合に解除するもので、自動車運転免許や飲食店営業許可などが講学上の許可の例とされる。 (行政法学上の通説(行政行為の分類))

18. 私人が本来有していない特別の権利や法的地位を新たに設定する行政行為を何というか。

  1. 特許
  2. 許可
  3. 公証
  4. 受理

特許は、公有水面埋立の免許や道路占用許可のように、相手方に新たな権利・法的地位を設定する形成的行政行為である。 (行政法学上の通説(行政行為の分類))

19. 第三者の契約その他の法律行為を補充して、その法律上の効力を完成させる行政行為を何というか。

  1. 許可
  2. 下命
  3. 確認
  4. 認可

認可は私人間の法律行為の効力発生要件として行われるものであり、認可を欠く当該法律行為は原則として効力を生じない。 (行政法学上の通説(行政行為の分類))

20. 行政行為に付加される従たる意思表示のうち、相手方に特別の作為・不作為義務を命ずるものを何というか。

  1. 条件
  2. 負担
  3. 期限
  4. 撤回権の留保

負担は主たる行政行為に付随して相手方に義務を課す附款であり、行政行為自体の効力の発生・消滅にかからしめる条件とは区別される。 (行政法学上の通説(行政行為の附款))

21. 行政行為が当然に無効となるための要件について、判例・通説がとる「重大明白説」の内容として正しいものはどれか。

  1. 瑕疵が重大でありさえすれば足りること
  2. 瑕疵が明白でありさえすれば足りること
  3. 瑕疵が重大であり、かつ、外形上客観的に明白であること
  4. 相手方が瑕疵の存在を知っていたこと

重大明白説は、行政行為が当然無効となるには瑕疵が重大であるだけでなく、外形上客観的に明白であることを要するとする判例・通説の立場である。 (最高裁判所判例(行政行為の無効に関する重大明白説))

22. 適法な許可を得て営業していた者が、その後の法令違反を理由に、行政庁によって当該許可の効力を将来に向かって失わせられた。この行政庁の行為は何と呼ばれるか。

  1. 撤回
  2. 職権取消し
  3. 行政代執行
  4. 不服申立て

瑕疵なく成立した行政行為について、後発的な事情を理由に将来に向けてその効力を失わせる行為を撤回といい、成立当初の瑕疵を理由に遡って効力を失わせる取消しと区別される。 (行政法学上の通説(撤回と取消しの区別))

23. 代替的作為義務が履行されない場合に、行政庁が自ら義務者のなすべき行為を行い、その費用を義務者から徴収する制度を何というか。

  1. 直接強制
  2. 執行罰
  3. 行政罰
  4. 行政代執行

行政代執行法は、代替的作為義務の不履行に対し行政庁が自ら義務内容を実現し、その費用を義務者に負担させる代執行の手続を定めている。

24. 行政庁が営業許可の取消しという重大な不利益処分を行おうとする場合、行政手続法上、原則として名あて人に対してとるべき事前手続はどれか。

  1. 弁明の機会の付与のみ
  2. 聴聞の手続
  3. 審査請求の手続
  4. 代執行の戒告

許認可の取消しなど重大な不利益処分を行う場合には、行政手続法上、原則として聴聞の手続を執らなければならない(それ以外の不利益処分は原則として弁明の機会の付与で足りる)。 (行政手続法第13条第1項)

25. 警察官が職務執行中に過失により通行人に損害を与えた場合、国家賠償法上、被害者に対して損害賠償責任を負うのは誰か。

  1. 当該警察官個人のみ
  2. 被害者自身
  3. 当該警察官が所属する国または公共団体
  4. 責任を負う者はいない

公務員が職務を行うについて故意または過失により違法に他人に損害を加えたときは、国または公共団体がその賠償責任を負う。 (国家賠償法第1条第1項)

26. 市が管理する道路に穴があり、これが原因で歩行者が転倒して負傷した。この場合の損害賠償責任に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 道路管理者である市は、国家賠償法第2条に基づき、過失の有無を問わず賠償責任を負いうる
  2. 市に過失がない限り賠償責任は一切生じない
  3. 歩行者自身が損害を負担しなければならない
  4. 国のみが賠償責任を負い、市は責任を負わない

公の営造物の設置・管理に瑕疵があったことによる損害については、管理者の故意過失を問わない無過失責任として賠償責任が生じる。 (国家賠償法第2条第1項)

27. ある処分を受けた者が、処分があったことを知った日から8か月後に、当該処分の取消訴訟を提起しようとしている。行政事件訴訟法上の原則として正しいものはどれか。

  1. 出訴期間の定めはないため、いつでも提起できる
  2. 処分から1年以内であれば常に適法に提起できる
  3. 出訴期間は経過しているが、裁判所は常に訴えを受理しなければならない
  4. 正当な理由がない限り、出訴期間(6か月)を経過しており、原則として訴えを提起できない

取消訴訟は処分または裁決があったことを知った日から原則として6か月以内に提起しなければならず、正当な理由がある場合を除き期間経過後の訴えは不適法となる。 (行政事件訴訟法第14条第1項)

28. 日本国憲法が公布されたのは1946年(昭和21年)11月3日であるが、施行された年月日として正しいものはどれか。

  1. 1947年(昭和22年)5月3日
  2. 1946年(昭和21年)5月3日
  3. 1947年(昭和22年)11月3日
  4. 1948年(昭和23年)5月3日

日本国憲法は1946年11月3日に公布され、公布から約半年後の1947年5月3日に施行された。 (日本国憲法(施行日は同附則・上諭))

29. 日本国憲法の三大基本原理は、国民主権、平和主義ともう一つは何か。

  1. 地方自治の保障
  2. 基本的人権の尊重
  3. 三権分立の徹底
  4. 罪刑法定主義

日本国憲法の三大基本原理は、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義である。 (日本国憲法前文および各条文)

30. 憲法改正を国会が発議するために必要な各議院の賛成要件として正しいものはどれか。

  1. 出席議員の3分の2以上
  2. 総議員の過半数
  3. 総議員の3分の2以上
  4. 総議員の4分の3以上

憲法改正の発議には、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要である。 (日本国憲法第96条第1項)

31. 日本国憲法第41条が定める国会の地位に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 国の唯一の行政機関である
  2. 国権の最高機関であり、内閣の諮問機関である
  3. 国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である
  4. 国の唯一の司法機関である

憲法第41条は、国会を「国権の最高機関」であり「国の唯一の立法機関」であると定めている。 (日本国憲法第41条)

32. 内閣総理大臣はどのように定められるか。

  1. 天皇が任意に任命する
  2. 国民の直接選挙により選出される
  3. 国会議員の中から国会の議決で指名される
  4. 衆議院議長が指名する

内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名される。 (日本国憲法第67条第1項)

33. 衆議院で内閣不信任決議案が可決された場合、内閣は衆議院を解散しない限り一定期間内に総辞職しなければならない。その期間として正しいものはどれか。

  1. 30日以内
  2. 10日以内
  3. 7日以内
  4. 14日以内

衆議院で不信任決議案が可決された場合、内閣は10日以内に衆議院が解散されない限り総辞職しなければならない。 (日本国憲法第69条)

34. 一切の法律・命令・規則・処分が憲法に適合するか否かを決定する権限を有する終審裁判所はどれか。

  1. 高等裁判所
  2. 内閣法制局
  3. 最高裁判所
  4. 国会の憲法審査会

最高裁判所は違憲審査権に関する終審裁判所として定められている。 (日本国憲法第81条)

35. 日本における違憲審査制度の性質について、最高裁判所の判例(警察予備隊訴訟)が採用しているとされる立場はどれか。

  1. 具体的事件を離れて抽象的に法令の違憲性を審査できる抽象的違憲審査制
  2. 内閣の諮問に応じてのみ審査を行う制度
  3. 具体的な訴訟事件の解決に必要な範囲で法令の合憲性を審査する付随的違憲審査制
  4. 国会の請求がある場合に限り審査を行う制度

最高裁は警察予備隊訴訟判決で、具体的な争訟事件を離れて抽象的に法令の合憲性を判断する権限はないとし、付随的違憲審査制の立場を示した。 (最高裁判所大法廷判決(警察予備隊訴訟、昭和27年10月8日))

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