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経済 — 要点整理

ミクロ経済学では、市場は需要と供給が一致する点で均衡する。完全競争市場において価格を所与とする企業の利潤最大化条件は価格=限界費用(P=MC)、独占企業では限界収入=限界費用(MR=MC)となる。需要の価格弾力性は「需要量の変化率÷価格の変化率」の絶対値で定義され、値が大きいほど価格変化に敏感である。外部性や独占などで資源配分が非効率になる状態を市場の失敗と呼び、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の運用は公正取引委員会が担う。

マクロ経済学の中心概念が国内総生産(GDP)である。GDPは一定期間内に一国の国内で新たに生み出された付加価値の総額で、生産面・分配(所得)面・支出面のいずれから計算しても一致する(三面等価の原則)。物価水準はGDPデフレーター=(名目GDP÷実質GDP)×100で捉える。単純なケインズ・モデルでは限界消費性向をcとすると政府支出乗数は1/(1−c)となり、財政政策の波及効果を説明する。

国際経済では、リカードの比較生産費説が基礎となる。各国は機会費用が相対的に小さい財(比較優位をもつ財)の生産に特化して貿易することで、双方が利益を得る。学説史としては、市場機構を重視する新古典派の企業行動理論と、有効需要と乗数を軸に財政・金融政策を位置づけるケインズ経済学の対比を押さえておきたい。日本経済史では、戦後復興から高度経済成長、石油危機、バブルとその崩壊、長期のデフレという流れと、消費税導入・引上げなど財政・金融の政策対応を関連づけて理解することが重要である。

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例題 (35)

1. ある財の需要曲線について述べた記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 需要曲線は、価格が上昇すると需要量も増加する右上がりの曲線として描かれるのが一般的である。
  2. 需要曲線は、価格が上昇すると需要量は減少する右下がりの曲線として描かれるのが一般的である。
  3. 需要曲線は常に垂直な直線として描かれる。
  4. 需要曲線の傾きは価格の変化とは無関係に一定である。

通常、財の価格が上昇すると需要量は減少するため、需要曲線は右下がりとなる。 (ミクロ経済学における需要曲線の標準的定義)

2. ある財の供給曲線について述べた記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 供給曲線は、価格が上昇すると供給量は減少する右下がりの曲線として描かれるのが一般的である。
  2. 供給曲線は、価格に関係なく供給量が常に一定となる水平線として描かれる。
  3. 供給曲線は、価格が上昇すると供給量も増加する右上がりの曲線として描かれるのが一般的である。
  4. 供給曲線は需要曲線と必ず平行になる。

一般に価格が上昇すると生産者はより多く供給しようとするため、供給曲線は右上がりとなる。 (ミクロ経済学における供給曲線の標準的定義)

3. 市場における均衡価格の説明として、最も妥当なものはどれか。

  1. 政府が法律で定めた公定価格のことである。
  2. 需要量と供給量が一致し、超過需要も超過供給も生じない価格のことである。
  3. 生産者が最も高い利潤を得られる価格のことである。
  4. 消費者が支払意思を持つ最高価格のことである。

均衡価格とは需要曲線と供給曲線が交わる点における価格であり、需要量と供給量が一致し市場が均衡する。 (ミクロ経済学における市場均衡の定義)

4. 需要の価格弾力性の説明として、最も妥当なものはどれか。

  1. 価格の変化率を需要量の変化率で割った値の絶対値である。
  2. 需要量の変化幅を供給量の変化幅で割った値である。
  3. 需要量の変化率を価格の変化率で割った値の絶対値である。
  4. 価格の変化幅を所得の変化幅で割った値である。

需要の価格弾力性は、価格が1%変化したときに需要量が何%変化するかを示す指標であり、需要量の変化率を価格の変化率で割った値(の絶対値)で定義される。 (ミクロ経済学における需要の価格弾力性の定義)

5. 消費者の所得が増加したときの需要曲線の変化に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 正常財では所得の増加により需要曲線が右方にシフトする。
  2. 劣等財では所得の増加により需要曲線が右方にシフトする。
  3. 財の種類にかかわらず、所得の変化は需要曲線に影響を与えない。
  4. 正常財では所得の増加により需要曲線が左方にシフトする。

正常財は所得が増加すると需要が増加する財であり、その需要曲線は右方にシフトする。所得増加で需要が減少する財は劣等財と呼ばれる。 (ミクロ経済学における正常財・劣等財の概念)

6. 財Xと財Yが代替財の関係にあるとき、財Xの価格が上昇した場合に生じる変化として、最も妥当なものはどれか。

  1. 財Yの需要曲線が左方にシフトし、需要が減少する。
  2. 財Yの供給曲線が右方にシフトする。
  3. 財Xと財Yの均衡価格は常に一致するようになる。
  4. 財Yの需要曲線が右方にシフトし、需要が増加する。

代替財の関係にある財では、一方の価格が上昇すると消費者はもう一方の財への需要を増やすため、その財の需要曲線は右方にシフトする。 (ミクロ経済学における代替財・補完財の概念)

7. 完全競争市場における企業の利潤最大化条件として、最も妥当なものはどれか。

  1. 平均費用が最小となる水準で生産量を決定する。
  2. 価格(P)と限界費用(MC)が等しくなる水準で生産量を決定する。
  3. 総収入が最大となる水準で生産量を決定する。
  4. 限界収入が平均費用と等しくなる水準で生産量を決定する。

完全競争市場では企業は価格受容者(プライステイカー)であり、価格と限界費用が一致する水準(P=MC)で生産量を決めることで利潤を最大化する。 (ミクロ経済学(新古典派の企業行動理論)標準定義)

8. 独占企業の利潤最大化行動に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 独占企業は価格受容者として行動し、価格と限界費用が一致する点で生産量を決定する。
  2. 独占企業は常に完全競争市場と同一の価格・生産量を実現する。
  3. 独占企業は限界収入と限界費用が一致する点で生産量を決定し、その価格は限界費用を上回る水準に設定される。
  4. 独占企業の利潤最大化条件は平均費用と限界収入が一致することである。

独占企業は市場全体の需要曲線に直面する価格支配者であり、限界収入と限界費用が等しくなる生産量を選び、その際の価格は限界費用より高い水準となる。 (ミクロ経済学(独占市場の理論)標準定義)

9. ある財の需要の価格弾力性が1より大きい(弾力的である)場合、企業がその財の価格を引き下げたときに生じる変化として、最も妥当なものはどれか。

  1. 需要量の増加率が価格の下落率を下回るため、総収入は減少する。
  2. 価格弾力性の大小にかかわらず、総収入は変化しない。
  3. 需要量はまったく変化せず、総収入は価格の下落分だけ減少する。
  4. 需要量の増加率が価格の下落率を上回るため、総収入は増加する。

需要が弾力的(弾力性>1)な財では、価格を引き下げると需要量が価格の下落率以上に増加するため、価格×需要量で表される総収入は増加する。 (ミクロ経済学における需要の価格弾力性と総収入の関係)

10. 政府が家賃統制のように市場の均衡価格よりも低い水準に価格の上限を設定した場合に生じる現象として、最も妥当なものはどれか。

  1. 供給量が需要量を上回る超過供給(余剰)が発生する。
  2. 需要量と供給量は変化せず、均衡状態が維持される。
  3. 供給曲線が右方にシフトし、価格規制の効果は相殺される。
  4. 需要量が供給量を上回る超過需要(不足)が発生する。

均衡価格より低い水準に価格の上限(上限規制)を設定すると、その価格では需要量が供給量を上回るため、超過需要(品不足)が生じる。 (ミクロ経済学における価格規制(上限価格)の効果)

11. 政府が最低賃金制度のように市場の均衡価格よりも高い水準に価格の下限を設定した場合に生じる現象として、最も妥当なものはどれか。

  1. 需要量が供給量を上回る超過需要が発生する。
  2. 均衡価格は自動的に下限価格まで低下する。
  3. 需要曲線と供給曲線がともに右方にシフトする。
  4. 供給量が需要量を上回る超過供給(余剰)が発生する。

均衡価格より高い水準に価格の下限(下限規制)を設定すると、その価格では供給量が需要量を上回るため、超過供給(労働市場では失業)が生じる。 (ミクロ経済学における価格規制(下限価格)の効果)

12. 我が国において、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)の運用を担う行政機関として、最も妥当なものはどれか。

  1. 消費者庁
  2. 経済産業省
  3. 公正取引委員会
  4. 中小企業庁

独占禁止法の運用・執行を担当する行政機関は公正取引委員会である。 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法))

13. リカードの比較生産費説(比較優位説)の内容として、最も妥当なものはどれか。

  1. 各国はすべての財について他国より生産費が低い場合にのみ貿易の利益を得られる。
  2. 貿易は関税によって保護されるべきであり、自由貿易は各国に不利益をもたらす。
  3. 各国は比較優位を持つ財の生産に特化して貿易を行うことで、互いに利益を得られる。
  4. 貿易の利益は、各国の人口規模の差によってのみ決定される。

リカードは、各国が絶対優位を持たなくても、機会費用が相対的に小さい(比較優位を持つ)財に特化して貿易することで双方が利益を得られることを示した。 (D.リカード『経済学および課税の原理』(1817))

14. リカードの比較生産費説における「比較優位」の判定基準として、最も妥当なものはどれか。

  1. その財の国内における市場価格の高低
  2. ある財を生産する際に犠牲となる他の財の生産量、すなわち機会費用の大小
  3. その国の総人口と国土面積の大小
  4. ある財の生産にかかる絶対的な労働量の多寡

比較優位は、ある財の生産に必要な絶対的な資源量ではなく、他の財の生産を犠牲にする程度(機会費用)が他国と比べて相対的に小さいかどうかで判断される。 (D.リカード『経済学および課税の原理』(1817))

15. アダム・スミスの絶対優位説とリカードの比較優位説の違いに関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 絶対優位説では機会費用を基準に貿易パターンを説明するのに対し、比較優位説では労働生産性の絶対水準のみを基準とする。
  2. 両説はいずれも、貿易の利益は関税収入の大小によって決まるとする点で共通している。
  3. 絶対優位説と比較優位説は、いずれも保護貿易政策の正当化を目的として提唱された。
  4. 絶対優位説によれば、すべての財について生産性が他国より劣る国は貿易から利益を得られないが、比較優位説によればそのような国でも貿易利益を得られる。

アダム・スミスの絶対優位説では、すべての財の生産性で他国に劣る国は貿易の利益を得られないことになるが、リカードは比較優位(機会費用の相対的な低さ)に基づけば、そのような国でも貿易により利益を得られることを示した。 (A.スミス『諸国民の富』/D.リカード『経済学および課税の原理』の比較)

16. 為替レートが1ドル=100円から1ドル=80円に変化した場合の説明として、最も妥当なものはどれか。

  1. 円の対ドル価値が下落した「円安」である。
  2. ドルの対円価値が上昇した「円高」である。
  3. 為替レートの変化は円の価値とは無関係である。
  4. 円の対ドル価値が上昇した「円高」である。

より少ない円で1ドルと交換できるようになったことは円の価値が上昇したことを意味し、これを円高という。 (外国為替相場(円高・円安)の基本定義)

17. 円高が進行した場合に、日本の輸出企業に与える一般的な影響として、最も妥当なものはどれか。

  1. ドル建て輸出価格が実質的に下落し、海外での価格競争力が向上しやすい。
  2. 輸出企業の採算にはまったく影響を与えない。
  3. 円高は輸入物価の上昇を通じて輸出企業の利益を増加させる。
  4. ドル建て輸出価格が実質的に上昇し、海外での価格競争力が低下しやすい。

円高になると、同じ円建て価格でもドル換算した輸出価格が割高になるため、海外市場での価格競争力が低下し、輸出企業の採算が悪化しやすい。 (外国為替相場の変動が貿易に与える影響(標準的理解))

18. 円安が進行した場合に日本経済に生じやすい影響として、最も妥当なものはどれか。

  1. 輸入品の円建て価格が下落し、国内物価は低下しやすい。
  2. 為替レートの変動は輸入物価にまったく影響しない。
  3. 円安は必ず輸出数量の減少をもたらす。
  4. 輸入原材料やエネルギーの円建て価格が上昇し、国内物価の上昇要因となりやすい。

円安が進むと、海外から輸入する原材料やエネルギーの円建て価格が上昇するため、企業のコスト増加を通じて国内物価の上昇要因となりやすい。 (外国為替相場の変動が国内物価に与える影響(標準的理解))

19. 固定相場制と変動相場制に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 固定相場制では、為替レートは外国為替市場の需給に応じて自由に変動する。
  2. 変動相場制では、為替レートは基本的に外国為替市場における需要と供給によって決定される。
  3. 変動相場制では、通貨当局が特定の為替レート水準を維持するよう常に介入する義務を負う。
  4. 現在の主要国はすべて固定相場制を採用している。

変動相場制では為替レートは市場の需給によって決定され、固定相場制は通貨当局が特定の水準に固定・維持しようとする制度である。 (国際金融論における為替相場制度の基本概念)

20. 為替レートの決定理論の一つである購買力平価説の説明として、最も妥当なものはどれか。

  1. 為替レートは二国間の金利差のみによって決定されるとする理論である。
  2. 為替レートは各国政府の外交関係の良否によって決定されるとする理論である。
  3. 為替レートは長期的には二国間の物価水準の比率に基づいて決定されるとする理論である。
  4. 為替レートは常に一定であり、変動しないとする理論である。

購買力平価説は、同一の財が異なる通貨で購入される場合に実質的な価値が等しくなるように、為替レートが二国間の物価水準の比率に基づいて決まるとする考え方である。 (国際金融論における購買力平価説(G.カッセル))

21. 国際収支統計における経常収支の構成要素に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 経常収支は、直接投資と証券投資のみから構成される。
  2. 経常収支には外貨準備の増減のみが計上される。
  3. 経常収支と資本移転等収支は同一の概念であり、区別されない。
  4. 経常収支は、貿易・サービス収支、第一次所得収支及び第二次所得収支から構成される。

国際収支統計における経常収支は、財・サービスの取引を表す貿易・サービス収支に加え、雇用者報酬や投資収益を表す第一次所得収支、無償援助等を表す第二次所得収支から構成される。 (IMF国際収支マニュアル(BPM6)に基づく財務省・日本銀行「国際収支状況」の統計区分)

22. 為替レートの変動と貿易収支の関係について説明される「Jカーブ効果」の内容として、最も妥当なものはどれか。

  1. 自国通貨が増価すると、貿易収支は即座かつ持続的に改善するとする効果である。
  2. 為替レートの変動は貿易収支に一切影響を与えないとする効果である。
  3. 貿易収支は為替レートにかかわらず常にJ字型のグラフを描いて悪化し続けるとする効果である。
  4. 自国通貨が減価すると、貿易収支は短期的には悪化した後、時間の経過とともに改善に向かう傾向があるとする効果である。

Jカーブ効果とは、自国通貨の減価(円安等)直後は契約済み取引の価格変化により貿易収支がむしろ悪化し、数量調整が進むにつれて時間の経過とともに貿易収支が改善していく現象を指す。 (国際経済学におけるJカーブ効果の標準的説明)

23. 第二次世界大戦後に構築されたブレトンウッズ体制に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. この体制は変動相場制を世界で初めて採用した体制である。
  2. この体制のもとで国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(世界銀行)が設立された。
  3. この体制は欧州連合(EU)の共通通貨ユーロの導入を目的としていた。
  4. この体制は自由貿易を否定し、各国に高関税の維持を義務付けた。

ブレトンウッズ体制は米ドルを基軸とする固定相場制の枠組みであり、その運営・支援機関としてIMFと世界銀行(国際復興開発銀行)が設立された。 (国際金融史におけるブレトンウッズ体制(1944年)の標準的理解)

24. ヘクシャー=オリーンの定理に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 各国は労働生産性が絶対的に高い財の生産にのみ特化するべきであるとする理論である。
  2. 貿易の発生は各国の関税水準の差のみによって説明されるとする理論である。
  3. 各国の貿易パターンは為替レートの変動によってのみ決定されるとする理論である。
  4. 各国は自国に相対的に豊富に存在する生産要素を集約的に使用する財の生産に比較優位を持つとする理論である。

ヘクシャー=オリーンの定理は、各国の要素賦存(資本や労働の相対的な豊富さ)の違いに着目し、相対的に豊富な生産要素を集約的に用いる財の生産に比較優位を持つとする貿易理論である。 (国際経済学におけるヘクシャー=オリーンの定理(要素賦存理論))

25. 需要の価格弾力性に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 価格が1%変化したときに需要量が何%変化するかを示す指標であり、需要量の変化率を価格の変化率で除した値の絶対値として定義される。
  2. 需要量の変化率を所得の変化率で除した値として定義される。
  3. 価格の変化率を需要量の変化率で除した値として定義される。
  4. 供給量の変化率を価格の変化率で除した値として定義される。

需要の価格弾力性は「需要量の変化率÷価格の変化率」の絶対値で定義される。選択肢2は所得弾力性、4は供給の価格弾力性の説明である。 (ミクロ経済学の弾力性の定義(需要の価格弾力性=|需要量の変化率÷価格の変化率|))

26. 米や医薬品のような生活必需品は、一般に需要の価格弾力性がどのような傾向を示すか。

  1. 価格が少し変化しただけで需要量が大きく変化するため、需要の価格弾力性は大きい(弾力的である)。
  2. 価格が変化しても需要量があまり変化しないため、需要の価格弾力性は小さい(非弾力的である)。
  3. 価格の変化と需要量の変化は常に比例するため、弾力性は常に1になる。
  4. 必需品には代替財が存在しないため、需要の価格弾力性は測定不可能である。

生活必需品は代替性が乏しく、価格が上昇しても需要量が大きく減少しないため、需要の価格弾力性は小さい(非弾力的)傾向がある。 (ミクロ経済学の弾力性の定義(必需品と奢侈品の弾力性の比較))

27. ある財の需要の価格弾力性が1より大きい(弾力的である)場合、企業が価格を引き下げると、総収入(価格×需要量)はどうなるか。

  1. 需要量の増加率が価格の下落率を下回るため、総収入は減少する。
  2. 価格と需要量の変化が完全に相殺するため、総収入は変化しない。
  3. 需要量の増加率が価格の下落率を上回るため、総収入は増加する。
  4. 需要の価格弾力性は総収入の増減とは無関係である。

需要が弾力的(弾力性>1)な場合、価格下落による需要量の増加率が価格下落率を上回るため総収入は増加する。 (ミクロ経済学の弾力性の定義(弾力性と総収入の関係))

28. 完全競争市場において、価格を所与として行動する企業の利潤最大化条件として正しいものはどれか。

  1. 価格(P)と平均費用(AC)が等しくなる生産量を選択する。
  2. 限界収入(MR)と平均費用(AC)が等しくなる生産量を選択する。
  3. 総収入と総費用の差が最小になる生産量を選択する。
  4. 価格(P)と限界費用(MC)が等しくなる生産量を選択する。

完全競争市場ではP=MCとなる生産量で利潤が最大化される。これは新古典派の企業行動理論の標準的な結論である。 (ミクロ経済学(新古典派の企業行動理論)標準定義(P=MC))

29. 完全競争市場と比較した場合の独占市場の帰結に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 独占企業も完全競争企業と同一の生産量・価格を実現するため、資源配分の効率性に差は生じない。
  2. 独占企業は完全競争の場合よりも生産量を制限し価格を高く設定するため、社会的余剰が減少する(死荷重が発生する)。
  3. 独占市場では消費者余剰が拡大し、生産者余剰は縮小するが社会的余剰の合計は変化しない。
  4. 独占により価格が低下するため、消費者にとって完全競争より望ましい結果となる。

独占企業はMR=MCで決まる生産量が完全競争の均衡生産量より少なく価格も高くなるため、社会的余剰が減少し死荷重(厚生損失)が生じる。 (ミクロ経済学(独占市場の厚生分析)標準定義)

30. 「市場の失敗」の要因として一般に挙げられるものの組み合わせとして、最も妥当なものはどれか。

  1. 完全競争、比較優位、規模の経済、自由貿易
  2. 価格の伸縮性、完全情報、多数の売り手と買い手
  3. 外部性、公共財、情報の非対称性、独占・寡占
  4. 財政赤字、貿易収支の不均衡、為替レートの変動

市場の失敗は、外部性・公共財・情報の非対称性・独占(不完全競争)などにより市場メカニズムだけでは効率的な資源配分が達成されない状況を指す。 (ミクロ経済学(市場の失敗の類型)標準定義)

31. 経済学における「公共財」の性質に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 対価を支払った者のみが消費でき、かつある人の消費が他の人の消費可能量を減少させる性質をもつ。
  2. 市場価格が需要と供給によって自由に決定される財を指す。
  3. 政府が生産する財であれば、その性質にかかわらずすべて公共財と呼ばれる。
  4. 対価を支払わない者を消費から排除することが困難であり(非排除性)、ある人の消費が他の人の消費可能量を減らさない(非競合性)という性質をもつ。

公共財は非排除性と非競合性を特徴とし、この性質のために市場での適正な供給が困難となり市場の失敗の一因となる。 (ミクロ経済学(公共財の理論)標準定義)

32. 公共財の供給に関して生じる「フリーライダー(ただ乗り)問題」の説明として、最も妥当なものはどれか。

  1. 非排除性のため対価を支払わずに公共財を利用できる者が現れ、各人が費用負担を避けようとする結果、公共財が社会的に望ましい水準まで供給されにくくなる問題である。
  2. 独占企業が価格を吊り上げることで、消費者が本来支払うべき対価以上の負担を強いられる問題である。
  3. 生産者が私的費用を過小に見積もることで、財が過剰に供給される問題である。
  4. 情報を持つ側が情報を持たない側を欺くことで、質の低い財ばかりが市場に出回る問題である。

フリーライダー問題は公共財の非排除性に起因し、対価を負担せず便益のみを享受しようとする行動により供給不足が生じる現象である。 (ミクロ経済学(公共財とフリーライダー問題)標準定義)

33. 工場の生産活動に伴う公害のような負の外部性が発生している場合に、資源配分の効率性を改善するための政策手段として最も妥当なものはどれか。

  1. 当該財の価格を政府が一律に引き下げ、生産者の私的費用を軽減する。
  2. 外部不経済の発生源に対して、社会的費用と私的費用の差に相当する課税(ピグー税)を課し、生産量を社会的に望ましい水準に近づける。
  3. 当該産業への参入を完全に自由化し、競争を促進することで外部性そのものを解消する。
  4. 当該財に対する補助金を交付し、生産量をさらに増加させる。

負の外部性が存在する場合、私的費用と社会的費用の乖離を是正するためにピグー税(矯正税)を課すことが代表的な政策対応とされる。 (ミクロ経済学(外部性とピグー税の理論、A.C.ピグーによる提唱))

34. 「コースの定理」に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 市場に外部性が存在する場合、政府による課税や補助金以外の手段では効率的な資源配分は達成できない。
  2. 公共財は必ず政府が供給しなければ、社会的に望ましい水準に到達することはない。
  3. 財産権が明確に確立されており、かつ交渉に伴う取引費用が無視できるほど小さければ、外部性が存在しても当事者間の自主的な交渉によって効率的な資源配分が達成されうる。
  4. 独占市場においては、当事者間の交渉によって完全競争市場と同じ生産量が常に実現する。

コースの定理は、取引費用がゼロで財産権が明確であれば、当事者間の自発的交渉により外部性の問題が政府の介入なしに解決されうることを示す考え方である。 (ミクロ経済学(R.コースの理論、外部性と取引費用))

35. リカードの比較生産費説に関する記述として、最も妥当なものはどれか。

  1. 各国はすべての財について他国より絶対的に生産性が高い場合にのみ、貿易から利益を得ることができる。
  2. 貿易は一方の国の利益が他方の国の損失となるゼロサムゲームであり、両国が同時に利益を得ることはできない。
  3. 比較生産費説は、関税によって国内産業を保護することが両国にとって最も望ましいと説く理論である。
  4. 各国が他国よりも機会費用が相対的に小さい(比較優位をもつ)財の生産に特化し、貿易を行うことで、貿易当事国全体の利益が増大する。

リカードは、各国が比較優位をもつ財に特化して貿易することで、絶対優位の有無にかかわらず貿易当事国全体の利益が拡大すると説いた。 (D.リカード『経済学および課税の原理』(1817))

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