ミクロ経済学では、市場は需要と供給が一致する点で均衡する。完全競争市場において価格を所与とする企業の利潤最大化条件は価格=限界費用(P=MC)、独占企業では限界収入=限界費用(MR=MC)となる。需要の価格弾力性は「需要量の変化率÷価格の変化率」の絶対値で定義され、値が大きいほど価格変化に敏感である。外部性や独占などで資源配分が非効率になる状態を市場の失敗と呼び、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の運用は公正取引委員会が担う。
マクロ経済学の中心概念が国内総生産(GDP)である。GDPは一定期間内に一国の国内で新たに生み出された付加価値の総額で、生産面・分配(所得)面・支出面のいずれから計算しても一致する(三面等価の原則)。物価水準はGDPデフレーター=(名目GDP÷実質GDP)×100で捉える。単純なケインズ・モデルでは限界消費性向をcとすると政府支出乗数は1/(1−c)となり、財政政策の波及効果を説明する。
国際経済では、リカードの比較生産費説が基礎となる。各国は機会費用が相対的に小さい財(比較優位をもつ財)の生産に特化して貿易することで、双方が利益を得る。学説史としては、市場機構を重視する新古典派の企業行動理論と、有効需要と乗数を軸に財政・金融政策を位置づけるケインズ経済学の対比を押さえておきたい。日本経済史では、戦後復興から高度経済成長、石油危機、バブルとその崩壊、長期のデフレという流れと、消費税導入・引上げなど財政・金融の政策対応を関連づけて理解することが重要である。
1. ある財の需要曲線について述べた記述として、最も妥当なものはどれか。
通常、財の価格が上昇すると需要量は減少するため、需要曲線は右下がりとなる。 (ミクロ経済学における需要曲線の標準的定義)
2. ある財の供給曲線について述べた記述として、最も妥当なものはどれか。
一般に価格が上昇すると生産者はより多く供給しようとするため、供給曲線は右上がりとなる。 (ミクロ経済学における供給曲線の標準的定義)
3. 市場における均衡価格の説明として、最も妥当なものはどれか。
均衡価格とは需要曲線と供給曲線が交わる点における価格であり、需要量と供給量が一致し市場が均衡する。 (ミクロ経済学における市場均衡の定義)
4. 需要の価格弾力性の説明として、最も妥当なものはどれか。
需要の価格弾力性は、価格が1%変化したときに需要量が何%変化するかを示す指標であり、需要量の変化率を価格の変化率で割った値(の絶対値)で定義される。 (ミクロ経済学における需要の価格弾力性の定義)
5. 消費者の所得が増加したときの需要曲線の変化に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
正常財は所得が増加すると需要が増加する財であり、その需要曲線は右方にシフトする。所得増加で需要が減少する財は劣等財と呼ばれる。 (ミクロ経済学における正常財・劣等財の概念)
6. 財Xと財Yが代替財の関係にあるとき、財Xの価格が上昇した場合に生じる変化として、最も妥当なものはどれか。
代替財の関係にある財では、一方の価格が上昇すると消費者はもう一方の財への需要を増やすため、その財の需要曲線は右方にシフトする。 (ミクロ経済学における代替財・補完財の概念)
7. 完全競争市場における企業の利潤最大化条件として、最も妥当なものはどれか。
完全競争市場では企業は価格受容者(プライステイカー)であり、価格と限界費用が一致する水準(P=MC)で生産量を決めることで利潤を最大化する。 (ミクロ経済学(新古典派の企業行動理論)標準定義)
8. 独占企業の利潤最大化行動に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
独占企業は市場全体の需要曲線に直面する価格支配者であり、限界収入と限界費用が等しくなる生産量を選び、その際の価格は限界費用より高い水準となる。 (ミクロ経済学(独占市場の理論)標準定義)
9. ある財の需要の価格弾力性が1より大きい(弾力的である)場合、企業がその財の価格を引き下げたときに生じる変化として、最も妥当なものはどれか。
需要が弾力的(弾力性>1)な財では、価格を引き下げると需要量が価格の下落率以上に増加するため、価格×需要量で表される総収入は増加する。 (ミクロ経済学における需要の価格弾力性と総収入の関係)
10. 政府が家賃統制のように市場の均衡価格よりも低い水準に価格の上限を設定した場合に生じる現象として、最も妥当なものはどれか。
均衡価格より低い水準に価格の上限(上限規制)を設定すると、その価格では需要量が供給量を上回るため、超過需要(品不足)が生じる。 (ミクロ経済学における価格規制(上限価格)の効果)
11. 政府が最低賃金制度のように市場の均衡価格よりも高い水準に価格の下限を設定した場合に生じる現象として、最も妥当なものはどれか。
均衡価格より高い水準に価格の下限(下限規制)を設定すると、その価格では供給量が需要量を上回るため、超過供給(労働市場では失業)が生じる。 (ミクロ経済学における価格規制(下限価格)の効果)
12. 我が国において、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)の運用を担う行政機関として、最も妥当なものはどれか。
独占禁止法の運用・執行を担当する行政機関は公正取引委員会である。 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法))
13. リカードの比較生産費説(比較優位説)の内容として、最も妥当なものはどれか。
リカードは、各国が絶対優位を持たなくても、機会費用が相対的に小さい(比較優位を持つ)財に特化して貿易することで双方が利益を得られることを示した。 (D.リカード『経済学および課税の原理』(1817))
14. リカードの比較生産費説における「比較優位」の判定基準として、最も妥当なものはどれか。
比較優位は、ある財の生産に必要な絶対的な資源量ではなく、他の財の生産を犠牲にする程度(機会費用)が他国と比べて相対的に小さいかどうかで判断される。 (D.リカード『経済学および課税の原理』(1817))
15. アダム・スミスの絶対優位説とリカードの比較優位説の違いに関する記述として、最も妥当なものはどれか。
アダム・スミスの絶対優位説では、すべての財の生産性で他国に劣る国は貿易の利益を得られないことになるが、リカードは比較優位(機会費用の相対的な低さ)に基づけば、そのような国でも貿易により利益を得られることを示した。 (A.スミス『諸国民の富』/D.リカード『経済学および課税の原理』の比較)
16. 為替レートが1ドル=100円から1ドル=80円に変化した場合の説明として、最も妥当なものはどれか。
より少ない円で1ドルと交換できるようになったことは円の価値が上昇したことを意味し、これを円高という。 (外国為替相場(円高・円安)の基本定義)
17. 円高が進行した場合に、日本の輸出企業に与える一般的な影響として、最も妥当なものはどれか。
円高になると、同じ円建て価格でもドル換算した輸出価格が割高になるため、海外市場での価格競争力が低下し、輸出企業の採算が悪化しやすい。 (外国為替相場の変動が貿易に与える影響(標準的理解))
18. 円安が進行した場合に日本経済に生じやすい影響として、最も妥当なものはどれか。
円安が進むと、海外から輸入する原材料やエネルギーの円建て価格が上昇するため、企業のコスト増加を通じて国内物価の上昇要因となりやすい。 (外国為替相場の変動が国内物価に与える影響(標準的理解))
19. 固定相場制と変動相場制に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
変動相場制では為替レートは市場の需給によって決定され、固定相場制は通貨当局が特定の水準に固定・維持しようとする制度である。 (国際金融論における為替相場制度の基本概念)
20. 為替レートの決定理論の一つである購買力平価説の説明として、最も妥当なものはどれか。
購買力平価説は、同一の財が異なる通貨で購入される場合に実質的な価値が等しくなるように、為替レートが二国間の物価水準の比率に基づいて決まるとする考え方である。 (国際金融論における購買力平価説(G.カッセル))
21. 国際収支統計における経常収支の構成要素に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
国際収支統計における経常収支は、財・サービスの取引を表す貿易・サービス収支に加え、雇用者報酬や投資収益を表す第一次所得収支、無償援助等を表す第二次所得収支から構成される。 (IMF国際収支マニュアル(BPM6)に基づく財務省・日本銀行「国際収支状況」の統計区分)
22. 為替レートの変動と貿易収支の関係について説明される「Jカーブ効果」の内容として、最も妥当なものはどれか。
Jカーブ効果とは、自国通貨の減価(円安等)直後は契約済み取引の価格変化により貿易収支がむしろ悪化し、数量調整が進むにつれて時間の経過とともに貿易収支が改善していく現象を指す。 (国際経済学におけるJカーブ効果の標準的説明)
23. 第二次世界大戦後に構築されたブレトンウッズ体制に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
ブレトンウッズ体制は米ドルを基軸とする固定相場制の枠組みであり、その運営・支援機関としてIMFと世界銀行(国際復興開発銀行)が設立された。 (国際金融史におけるブレトンウッズ体制(1944年)の標準的理解)
24. ヘクシャー=オリーンの定理に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
ヘクシャー=オリーンの定理は、各国の要素賦存(資本や労働の相対的な豊富さ)の違いに着目し、相対的に豊富な生産要素を集約的に用いる財の生産に比較優位を持つとする貿易理論である。 (国際経済学におけるヘクシャー=オリーンの定理(要素賦存理論))
25. 需要の価格弾力性に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
需要の価格弾力性は「需要量の変化率÷価格の変化率」の絶対値で定義される。選択肢2は所得弾力性、4は供給の価格弾力性の説明である。 (ミクロ経済学の弾力性の定義(需要の価格弾力性=|需要量の変化率÷価格の変化率|))
26. 米や医薬品のような生活必需品は、一般に需要の価格弾力性がどのような傾向を示すか。
生活必需品は代替性が乏しく、価格が上昇しても需要量が大きく減少しないため、需要の価格弾力性は小さい(非弾力的)傾向がある。 (ミクロ経済学の弾力性の定義(必需品と奢侈品の弾力性の比較))
27. ある財の需要の価格弾力性が1より大きい(弾力的である)場合、企業が価格を引き下げると、総収入(価格×需要量)はどうなるか。
需要が弾力的(弾力性>1)な場合、価格下落による需要量の増加率が価格下落率を上回るため総収入は増加する。 (ミクロ経済学の弾力性の定義(弾力性と総収入の関係))
28. 完全競争市場において、価格を所与として行動する企業の利潤最大化条件として正しいものはどれか。
完全競争市場ではP=MCとなる生産量で利潤が最大化される。これは新古典派の企業行動理論の標準的な結論である。 (ミクロ経済学(新古典派の企業行動理論)標準定義(P=MC))
29. 完全競争市場と比較した場合の独占市場の帰結に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
独占企業はMR=MCで決まる生産量が完全競争の均衡生産量より少なく価格も高くなるため、社会的余剰が減少し死荷重(厚生損失)が生じる。 (ミクロ経済学(独占市場の厚生分析)標準定義)
30. 「市場の失敗」の要因として一般に挙げられるものの組み合わせとして、最も妥当なものはどれか。
市場の失敗は、外部性・公共財・情報の非対称性・独占(不完全競争)などにより市場メカニズムだけでは効率的な資源配分が達成されない状況を指す。 (ミクロ経済学(市場の失敗の類型)標準定義)
31. 経済学における「公共財」の性質に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
公共財は非排除性と非競合性を特徴とし、この性質のために市場での適正な供給が困難となり市場の失敗の一因となる。 (ミクロ経済学(公共財の理論)標準定義)
32. 公共財の供給に関して生じる「フリーライダー(ただ乗り)問題」の説明として、最も妥当なものはどれか。
フリーライダー問題は公共財の非排除性に起因し、対価を負担せず便益のみを享受しようとする行動により供給不足が生じる現象である。 (ミクロ経済学(公共財とフリーライダー問題)標準定義)
33. 工場の生産活動に伴う公害のような負の外部性が発生している場合に、資源配分の効率性を改善するための政策手段として最も妥当なものはどれか。
負の外部性が存在する場合、私的費用と社会的費用の乖離を是正するためにピグー税(矯正税)を課すことが代表的な政策対応とされる。 (ミクロ経済学(外部性とピグー税の理論、A.C.ピグーによる提唱))
34. 「コースの定理」に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
コースの定理は、取引費用がゼロで財産権が明確であれば、当事者間の自発的交渉により外部性の問題が政府の介入なしに解決されうることを示す考え方である。 (ミクロ経済学(R.コースの理論、外部性と取引費用))
35. リカードの比較生産費説に関する記述として、最も妥当なものはどれか。
リカードは、各国が比較優位をもつ財に特化して貿易することで、絶対優位の有無にかかわらず貿易当事国全体の利益が拡大すると説いた。 (D.リカード『経済学および課税の原理』(1817))